ホームページの管理費は必要?自社管理と制作会社の判断基準と考え方

ホームページの管理は、公開後も安全に表示を保ち、問い合わせの取りこぼしを防ぐために必要です。更新が発生するサイト、お問い合わせフォームや決済が動いているサイト、会社の信頼を損なえないサイトでは必要です。一方で、自社で維持・管理できる場合は、管理費を抑えたり、不要にできる場合があります。

この記事では、ホームページ制作会社の管理費の中身、必要かどうかの線引き、金額の考え方、社内対応と外部委託の違い、よくある誤解の整理までを順に説明します。結論だけ先にお伝えすると、更新や重要機能があるサイト、または復旧の遅れが許されないサイトでは管理費が必要です。社内に維持・管理の体制がある場合は、管理費を最小化することもできます。

目次

管理費とは何か

管理費とは、ホームページを公開した後も安全に表示し続け、使いやすい状態を保つための月額サービス費です。作業の中心は、土台となる仕組みを最新に保つこと、外部からの攻撃に備えること、万一の時にすぐ戻せる準備を整えること、そして日常の軽い手直しに対応することです。ここでは、含まれる作業と含まれない作業を先に明確にし、自社にとって必要なのか、必要ではないのか判断できるように説明します。

管理費に「含まれること」

管理費に含まれる代表的な内容は、サーバーと独自ドメインの維持、WordPress本体と追加機能の更新、外部からの不正アクセスを想定した基本的な保護、バックアップと復元の準備、そして文字修正や画像差し替えといった軽微な更新が含まれることがあります。お客様には見えにくい作業ですが、どれかが欠けると表示不具合や改ざん、問い合わせの不達といった問題が発生します。月ごとに必要な点検を行い、更新による不具合が出ていないかを確認し、異常があれば早期対応するまでが管理の範囲です。

管理費に「含まれないこと」

管理費には、大きな構成変更やページの追加、写真撮影や原稿の新規作成、広告の運用、外部サービスの有料契約費などは含まれません。新しい機能の開発や大幅なデザイン改修も別料金の対象です。管理費はあくまで公開後の維持と日常の軽い調整を対象とし、制作や拡張に相当する作業は範囲外です。

管理費は必要なのか

管理費が必要とされる理由は明確です。

第一に、仕組みを最新に保たなければ脆弱性が生まれ、攻撃の標的になります。
第二に、更新や外部要因で表示が崩れることがあり、放置すると問い合わせの機会を失います。
第三に、バックアップと復元の準備がなければ、万一の故障や誤操作から迅速に戻すことができません。

これらは日常的に起こり得ることなので、公開後も定期の維持管理が必要です。

管理に必要なこと

ここでは、ホームページを安全に運営し続けるために実際に管理する必要があるものだけを取り上げます。いずれも管理費の対象に含まれる作業です。各項目の末尾で、「自社でできるなら管理費は不要にできる」「難しい場合は制作会社へ管理費を支払って任せる」という判断の目安を記載しています。

ソフトウェアの更新と動作確認

サイトの土台は常に更新する必要があります。更新を適用しないと不具合や脆弱性が残ります。更新後に表示やフォーム送信に問題がないかを確認し、問題があれば直ちに元に戻す準備をしておくことが必要です。

自社で対応できる場合の目安

更新の前後でバックアップを取り、テスト環境または即時復元で安全に切り替えられる体制があるなら社内対応で運用できます。

外部に任せる判断の目安

更新後の不具合の切り分けや復元に不安がある場合は、管理費の範囲で制作会社に任せると安全です。

セキュリティの基本対策

管理画面の保護、ログイン試行の制限、SSL証明書の有効期限管理、フォームのスパム対策などは継続対応が必要です。設定の見直しや期限切れの防止を怠ると、改ざんや受付停止、サイトの乗っ取りなどにつながります。

自社で対応できる場合の目安

管理画面の強固なパスワード運用、二段階認証、SSL更新の期日管理、フォーム対策の設定変更が月次で実施できるなら社内対応が可能です。

外部に任せる判断の目安

設定変更の影響範囲が読めない、期日管理に漏れが生じる場合は管理費での継続管理が有効です。

バックアップと復元テスト

万一の故障や誤操作に備え、サイト本体とデータベースを定期的に保存します。保存先の分散と保存数の管理、実際に復元できるかの検証まで行うことが重要です。

自社で対応できる場合の目安

毎月の取得と検証を実施し、復元手順を担当者間で共有できるなら管理費は不要にできます。

外部に任せる判断の目安

復元テストの実施や手順の共有が難しい場合は、制作会社に任せると復旧時間を短縮できます。

サーバー・ドメインの維持

サーバー契約の更新、独自ドメインの更新、DNS設定の変更やSSL証明書の差し替えなど、期日と正確さが求められる作業を継続して行います。ひとつのミスで全ページが表示されなくなることもあるため、確実な管理が必要です。

自社で対応できる場合の目安

更新時期を管理し、DNSやSSLの設定変更を正確に実施できる体制があれば社内で運用できます。

外部に任せる判断の目安

手順に不安がある、担当者不在の期間が想定される場合は、制作会社に依頼したほうが安全です。

監視と障害対応

フォーム送信の不達やページのエラーは、気付かないまま長期間続くことがあります。定期的な送信テスト、簡易なエラーログ確認、表示チェックを行い、異常時は一次復旧と原因の切り分けまで対応します。

自社で対応できる場合の目安

毎月のチェック日を固定し、異常時に直ちに復旧手順を実行できるなら自社で管理で問題ありません。

外部に任せる判断の目安

監視の実施や一次復旧が難しい場合は、制作会社での常時点検と早期対応が有効です。

表示と内容の軽微な手直し

料金表の更新、実績の追加、誤字の修正、リンク切れの修正などは放置すると信頼を損ないます。小さな変更を確実に反映し、最新状態を保つことが必要です。

自社で対応できる場合の目安

月次で更新箇所を洗い出し、公開前の確認と公開後の再確認まで行えるなら自社で運用できます。

外部に任せる判断の目安

調整後の不具合対応に不安がある場合は、制作会社の継続管理に含めると安定します。

法令・表記の軽微な更新

プライバシーポリシーやCookieに関する表記は、サービス変更や運用の見直しに合わせて文言の更新が必要になる場合があります。軽微な範囲の修正であっても、サイト全体の整合を確認して反映します。

自社で対応できる場合の目安

改定内容の確定と公開作業を社内で完了できるなら自社で運用できます。

外部に任せる判断の目安

反映漏れや表記の不整合が懸念される場合は、管理費に含めて確実に更新します。

自社管理できるかチェック

自社管理を考えているなら、更新の有無、止められない機能の有無、社内運用の可否という三つの観点で順に判断できるようにしました。チェックの数が、三つのうち二つ以上が「対応が必要」に該当する場合はお願いしたほうがよく、二つ以上が「自社で確実に運用できる」に該当する場合は自社管理が一部または全部可能にできます。

チェック1:更新の有無

WordPress本体や機能の更新が発生する場合、月次の更新と動作確認が必要です。更新が無くても、年数回の保守更新や証明書の更新は必ず発生します。更新作業と復元テストを社内で安全に回せるなら自社対応で問題ありません。更新と検証に不安があるなら、制作会社に依頼するのがいいです。

チェック2:止められない機能の有無

問い合わせフォーム、予約、決済、資料ダウンロードなど、止まると機会損失が発生する機能を持つ場合、監視と一次復旧の体制が必要です。送信テストとエラー確認を社内で毎月確実に行い、異常時に即時復旧できるなら自社対応で問題ありません。監視の実施や復旧体制が不十分であれば、制作会社に依頼するのがいいです。

チェック3:社内で毎月やり切れるか

担当者、手順、締切、確認という四つの要素が社内で固定化されていれば、自社運用は機能します。担当の長期不在や属人化が想定される場合、更新や期限管理が途切れる可能性があります。運用が途切れるかもしれないなら、制作会社でカバーする体制が安全です。

金額の目安と内訳の考え方

管理費は「実費」と「作業費」から構成されています。実費は契約すれば必ず発生し、作業費は更新や点検に要する人の手間に対して発生します。ここを分けて考えると、どこを自社で担い、どこを制作会社へ任せるかを判断できます。

実費

実費は、サーバーと独自ドメインの契約にかかる費用です。これらは契約者に必ず発生する固定費なのです。

自社で管理できる場合

契約更新の期限管理、支払い方法の維持、DNSやSSLの設定変更、PHP Ver確認と切り替えなどサーバー設定およびトラブル対応を社内で正確に行えるなら、ここは自社で完結できます。

外部へ任せる場合

設定や更新期限の管理に不安がある、担当者が不在になり得る場合は、制作会社の管理範囲に含めておくと安全です。

作業

作業費は、WordPress本体や機能の更新、月次の表示確認と送信テスト、バックアップ取得と復元検証、軽微な文言や画像の差し替えに対して発生します。専門的な確認を含むため、制作会社では作業量に見合った管理費を設定します。

自社で管理できる場合

更新手順と復元手順を文書化し、毎月のチェック日を固定し、作業記録を残せる体制があれば、作業費を自社の人件費に置き換えられます。

外部へ任せる場合

更新後の不具合対応や復元に自信が無い、点検と記録の継続が難しい場合は、制作会社に管理を依頼するのが確実です。

トラブル対応

管理費の価値は、トラブルが起きた時に最も明確になります。受付フォームの停止や改ざんは、気付くのが遅いほど損失が大きくなります。監視と一次復旧を管理範囲に入れておくと、原因の切り分けから復旧までを短時間で進められます。責任の所在が明確になるため、復旧が早く、再発防止の手順も整います。

自社で管理できる場合

一次復旧の担当と連絡手順、深夜・休日の対応可否が決まっていて、直ちに復元できる準備があるなら、自社管理ができます。

外部へ任せる場合

復旧の遅延が許されない、対応者が限られる場合は、制作会社に依頼するのが確実です。

自分でやる?任せる?時間で比べると見えること

判断に迷う時は、毎月の作業にかかる時間と、万一の復旧にかかる時間で比べるといいです。時間はそのままコストですし、対応可能な時間帯も重要な条件です。

毎月の作業リストと所要時間の目安

小規模サイトで更新と動作確認、バックアップ取得と復元検証、送信テスト、軽微な修正を合わせると、月あたりでおよそ2〜4時間の作業になります。中規模では4〜8時間に増えます。作業時間は「担当者の経験」と「確認の丁寧さ」で増減しますが、確認を省くことはできません。

自社で管理できる場合

この時間を確保し、手順書に沿って毎月欠かさず実施できるなら、自社管理で対応できます。

外部へ任せる場合

繁忙期や担当の不在で作業が滞る可能性がある場合は、自社管理で対応できます。

万一の復旧スピードと費用のちがい

障害時の復旧は、原因特定と復元の手順が整っているかで大きく差が出ます。外部へ任せている場合、一次対応の開始が速く、責任の所在が明確です。自社対応で復旧が遅れると、問い合わせや売上の損失が拡大します。復旧に要する時間は、平時の準備で短縮できます。

自社で管理できる場合

即時に復元できるバックアップと、関係先への連絡体制があるなら、復旧の遅れは抑えられます。

外部へ任せる場合

夜間や休日の復旧が必要、または社内に復旧経験者がいない場合は、制作会社の管理費に含めることで対応してもらえます。

結論|「時間×リスク」で判断する

毎月の平時の作業時間と、障害時の復旧に要する時間を合わせた総時間が、管理のコストです。社内で確実に回せるなら自社管理できます。対応が不安定であれば、制作会社に任せることで、総コストを下げながらリスクも抑えられます。

よくある誤解Q&A

管理費を払えばSEOが上がるのか

管理費は、サイトを安全に保ち、正しく表示される状態を維持するための費用です。管理費の支払い自体が検索順位を直接上げることはありません。ただし、表示不具合やフォーム停止を防ぐことは、機会損失を防ぎ、結果として問い合わせの維持に繋がります。検索順位を上げたい場合は、通常プランのホームページ制作をご検討ください。

サーバーの自動バックアップだけで十分か

自動バックアップは重要ですが、十分ではありません。実際に復元できるかの検証、保存期間と保存数の管理、外部保存の有無までを整えて初めて安全が担保されます。

更新しないなら放置でよいのか

放置は不可です。更新を行わないでも、サーバーやSSLの更新、フォーム送信のテスト、バックアップの取得は継続が必要です。最低限の点検を社内で確実に実施できるようにしておく必要があります。

1ページサイトでも管理費は必要か

1ページ構成でも、フォームや計測タグ、SSLなど管理対象は存在します。ホームページを運営する以上、点検とバックアップは欠かせません。

本当に自社管理でいいのか考えてください

管理費を抑えたい、または自社で管理したいという考え方自体は合理的です。しかし、ホームページの管理を過小評価すると、いざという時に深刻な損失につながります。公開後の運用では、日々の点検だけでなく、万一の際に確実に対応・対策・解決・復旧まで実行できる体制が必要です。ここが準備できていない場合、安価な月額や自社運用は結果として高くつきます。

管理を軽く見た場合に起きる現実

自社管理のサイトでトラブルが発生し、制作会社へ復旧を依頼すると、調査から原因の切り分け、復元、再発防止まで個別見積の対象になります。復旧は時間との勝負であり、緊急対応や夜間・休日対応が加わると費用は大きくなります。日常の管理を適切に行っていれば避けられた停止でも、復旧までの機会損失は確実に発生します。

低価格の管理費に存在する前提条件

月額が非常に安いプランには、管理の範囲や責任の置き方に前提条件が存在します。バックアップの保存期間や回数が短い、毎月の簡易修正の回数や内容に上限がある、監視や一次復旧の対応時間帯が限定されるなどの制限は珍しくありません。制限自体は不適切ではありませんが、サイトの重要度と合致しない場合はリスクが残ります。

予算とリスクのバランスで決める

制作費と管理費には会社ごとの上限があり、優先順位も異なります。判断の軸は明確で、サイトの重要度、更新頻度、社内の対応力、障害時に許容できる停止時間の4点です。重要度が高く、停止を許容できない場合は、制作会社に管理を任せて復旧責任と対応時間を契約で明確にする必要があります。更新が少なく、日常点検と復旧までを自社で確実に実行できる場合は、自社管理することができます。どちらを選ぶ場合でも、点検手順、バックアップと復元の運用、緊急連絡の流れを文書化し、記録を継続する体制が必要となります。

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